企業が制作する映像コンテンツに脚本家が必要な「3つの理由」

近年、企業や自治体がブランディングを目的にしたドラマコンテンツ(ブランデッドムービー)を制作する事例が急速に増えてきています。実際、テレビコマーシャルを打つよりも低価格で実現できるというメリットがあります。


一方で美しいビジュルで目を惹くものの、印象に残らず期待していたほどの効果を得られないケースも多いようです。その原因は、脚本力の弱さにあります。


たった5分の映像でも、誰かの目にとまり、さらに心に残るためには、戦略的な制作技術が不可欠。映画では「5割は脚本で決まる(ビリー・ワイルダー)」と言われるように、脚本家の起用が成功を左右するのです。ブランデッドムービーでも同様に、脚本がしっかりしていなければ、どれほど製作費をかけても、視聴者の心を掴むことはできません。


そこで、本記事では映像制作になぜ脚本家が必要なのか、詳しく解説していきます。現在、映像制作をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。


1.脚本は映像制作の「設計図」

脚本(台本)がなければ映像は作れません。

たとえば、会議で話していた議題が、終わってみたらまったく違う議題にかわっていたという経験はないでしょうか。

映像制作も同じで、三谷幸喜監督の『ラヂオの時間』のように皆が言いたいことを言い、その都度変更していたら、目的を見失い、作品は暴走してしまうのです。

すべてのスタッフが完成イメージを共有する設計図が脚本です。

そのため脚本は自由な体裁ではなく、守らなければならないルールや、簡潔に意図を伝える技術が求められているのです。


▼基本的なシナリオ制作の流れ

企業の制作におけるターゲットやコンセプトを脚本家・監督が聞き取り

脚本家があらすじ(プロット)を作成

企業、監督が確認し意見をもらう

脚本家が脚本を作成

初稿をもとに修正点を聞き取り、改稿を重ねていく

脚本完成

◎この脚本を基に俳優やロケーションを選定し、撮影が行われる。


脚本が完成するまで、ときには「てにをは」まで脚本家の意図を聞き、理解を共有します。

「さようなら」というセリフは、「さようなら……」「さようなら!」「……さようなら」「サヨナラ」では、演じ方もシーンの意図も変わるため、ひとたび脚本が仕上がれば、一文字すら勝手に修正しないという監督も多いのです。


この細かくて面倒な(!)作業が終わり脚本が完成すれば、映像制作の大方は見えたといっていいでしょう。


2.脚本家だからできる「刺さる構成術」

脚本家に求められるのは常に「ドラマ」です。映像が仕上がっても多くの人に観てもらえない、共感を得られないのでは意味がないのです。どうすれば心に刺さるか、そのために脚本家は個性と技術を駆使します。


その主たるものが「構成」。

ビジネスシーンで言われる「大切な言葉は文章の最後に」と同じように、脚本においても伝えるための方法論があります。事実をどんなに羅列しても、正しい順序でストーリーを練り上げても、それが心を動かす映像になるとは限らないからです。


たとえば、ミステリー映画で「この人が犯人だろうか」と推理したり、犯人が追いつめられていく過程にドキドキしたりするのは、すべて脚本家の構成術のなせる技なのです。

こうした技術に基づいたシナリオによったドラマを制作することで、視聴者の心を掴み、企業や自治体のブランド力の向上が期待できるようになります。


3.ターゲットに届く「想像力」と「情報力」

ドラマを生み出すためには想像力が必要です。マラソンランナーが走って練習するのと同様、脚本家も魅力ある設定やキャラクターを創造していくために、日々、想像力を鍛えています。


のんびりお風呂に入っているように見えて、脳内では「ここで急に強盗が入ってきたら、あの人はどんな行動をとるだろう」とか、「もしお風呂から上がったら地球でたったひとりになっていたら?」などと日常のすべてに想像を羽ばたかせて脚本のタネを探しているのです。


一方で、その想像を補完する情報収集も脚本家の大事な資質。取材ライターや編集者から脚本家になる人が多いのもそのゆえん。


もし企業から、カフェを題材にムービーを作りたいという要望があれば、脚本家は「魅力的なカフェとは」「カフェの開業資金」「伝説のメニューやスタッフ」「関連する映画やドラマ、小説」「カフェでの客の会話」など多岐にわたって調べる場合もあります。


キャラクターの人物設定に一生分の年表を作る脚本家がいるように、「根のない木は書かない(倉本聰)」ことが脚本家のセオリー。

体裁だけの映像ではなく、「想像力」×「情報力」によって、記憶に残る作品をつくるのが脚本家の仕事なのです。


まとめ

ブランド力向上を目的としたドラマ制作は、さまざまな業種で盛り上がりを見せていますが、その成功の鍵を握るのが脚本です。

ブランドの認知拡大させ、ファン化させるには視聴者を共感させる技術が必要なのです。

他社との差別化をはかり、視聴者の共感を得る映像作品をつくり上げるために、ビジュルアルだけでなく、脚本を重視することが不可欠です。

シナリオ作家集団トキワでは、劇場映画やドラマだけでなく、ブランデッドムービーへの脚本提供、映像制作も積極的に行なっています。

ブランデッドムービーの制作をご検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。

映像制作や企画、ブランディングについても丁寧に対応しています。