【初心者向け】シナリオ・脚本の書き方

脚本を書いてみたい……でも何から手をつけたらいいのかわからない!


そんな方のために、今回は脚本の書き方をご紹介します。この記事を読めばもう大丈夫、すぐに書き始めることができます。準備から、守るべき形式まで一つ一つ丁寧に解説していきますので、脚本のいろはを身につけ、自分だけの物語を形にしましょう。

目次

1.脚本が完成するまでの流れ  

  ①プロットを作成する

  ②脚本を書く

  ③修正を繰り返す

  ④完成

2.脚本のルール

  ①表紙

  ②登場人物表

  ③本文〜柱・ト書き・台詞〜

3.脚本を面白くするテクニック

  ①ナレーション

  ②回想・フラッシュバック

  ③タイトル・字幕


1.脚本が完成するまでの流れ

まずは流れを見ていきましょう。


①プロットを作成する

②脚本を書く

③修正を繰り返す

④完成


脚本家により進め方は異なりますが、おおよそはこのステップで進みます。では、それぞれの工程について簡単に解説します。


①プロットを作成する

脚本を書き始める前にプロットを作成します。プロットとは物語のあらすじを簡潔にまとめたものです。誰が、どこで、誰と関わり、どんな結末を迎えるのか、物語の起承転結をわかりやすくまとめます。プロットを作成しないまま脚本を書き始めると、必要な情報が読み手に伝わらないまま物語が進行したり、あらぬ方向に物語が脱線したりします。800字程度でまとめられると良いでしょう。


②脚本を書く

プロットを仕上げたら、いよいよ脚本を書いていきます。しかし、脚本は闇雲に書き進めれば良いわけではなく、決められた形式に沿う必要があります。なぜ形式が存在するかというと、脚本はその物語の設計図であり、役者や監督、様々なスタッフが共通の認識を持つことができるよう配慮する必要があるからです。その形式については、2.脚本のルール で詳しく解説していきます。


③修正を繰り返す

脚本を書き上げたら、修正に移ります。第一稿、第二稿……と修正を重ねましょう。このとき、主人公の感情の流れが不自然ではないか、表現として伝わりにくい部分はないかなどを確認します。他の人に感想を貰っても良いでしょう。


④完成

修正が終わればついに完成です。コンクールなどでは必ず締切が存在するので、その日付を見据えてスケジュールを組みましょう。


2.脚本のルール

ここでは脚本を書く上で守るべき形式について解説します。

まずは、原稿用紙を用意しましょう。最近ではWordで書く場合がほとんどなので20字×20行でページ設定をしておきます。この原稿用紙の形式であれば映像にしたときに1ページ1分ほどの計算になります。つまり、1時間のドラマ脚本を書こうと思えば、原稿用紙50枚〜60枚ほどの量を書くことになります。

さて、20字×20行でページ設定をできれば、いよいよ脚本を書いていきます。一般的な構成は以下の通りです。


1枚目  表紙

2枚目  登場人物表

3枚目〜 本文


では、それぞれのページについて見ていきましょう。]


①表紙

中央に大きく題名、左下に名前を書きます。


②登場人物表

1行目に「登場人物」、2行目から人物名、年齢、属性を書いていきます。基本的に主要な登場人物から、フルネームで書いていきます。

登場人物表はキャスティングの際に最も参考にされるため、少しでも台詞があれば名を連ねるようにします。このとき、台詞が一言程度の人物であれば「部長」「学生A」といった書き方で構いません。

また、登場人物の属性は、職業、もしくは「○○の妻」といったように、主要人物との関係性を簡潔に書きます。


③本文〜柱・ト書き・台詞〜

本文は、柱、ト書き、台詞から成ります。それぞれの役割は以下の通りです。

A.柱

時間と場所を指し示すのが柱です。「○」の後に書き始めます。場所の後に(朝)(夕)(夜)など時間を書きます。(昼)は省略して構いません。

また、同じ場所が柱として続く場合は「同」と省略することができます。


B.ト書き

柱を立てた後は、ト書きに移ります。上から3字下げて書き始めます。誰が、何をしているのか、簡潔に書きましょう。基本的に現在形で書かれます。

初めて登場する人物は、「田中博(40)」といったようにフルネームと年齢を書きます。以降は「田中」や「博」など省略して書き進めます。


C.台詞

ト書きの後は台詞に移ります。人物名の後にカッコ書きで台詞を書きましょう。

台詞が二行以上になる場合は、二行目から一字下げて書きます。


3.脚本を面白くするテクニック

ここでは、ナレーションや回想など、映画やドラマでよく使われる手法を紹介します。効果的に取り入れて、脚本をより面白くしていきましょう。

ちなみに、上級者ほど以下のテクニックに頼らず面白い脚本を書き上げると言われています。ぜひそちらにも挑戦してみてください!


①ナレーション

登場人物の心の声や、状況説明などをナレーションで表現することがあります。脚本上では記号を使って以下のように書きます。


ナレーターを立てる場合

N「平成9年8月」


心の声の場合

田中M「落ち着け、息を整えるんだ」

心の声に関してはM(モノローグ)を使います。


②回想・フラッシュバック

映像作品でよく使われる回想とフラッシュバックを紹介します。どちらも過去を振り返るシーンですが、回想の中でも、瞬間的に記憶の断片が差し込まれるものはフラッシュバックと呼ばれています。どちらも柱に記号を付けて表現します。


回想の場合

○(回想)コーポさくら・田中の部屋(夜)


フラッシュバックの場合

○(フラッシュ)田部中学校・音楽室(朝)


回想シーンが複数の柱に渡る場合は最初の柱に(回想始まり)、最後の柱に(回想終わり)と書きましょう。

また、フラッシュバックの場合「×××」を用いる場合があります。この記号はシーン内での短い時間経過を表現する際に使われます。


○コーポさくら・田中の部屋(夜)

   田中、鞄から譜面を取り出すと手を滑

   らせ床に落としてしまう。   

   × × ×

   (フラッシュ)

   田部中学校の音楽室。

   散らばった譜面を拾う田中博(14)。

   それを手伝う山田浩子(14)。

   × × ×

   田中、我に返ると、床の譜面を拾い上

   げる。


③タイトル・字幕

最後に、映像内で文字を映す手法を紹介します。物語冒頭のメインタイトルが一番に浮かびますが、タイムリミットを表示して緊迫感を演出したり、手話の内容を伝えたり、様々な使用法があります。今回は2パターンの書き方を紹介します。

まず、ト書きに書く場合です。タイトル・テロップを差し込む際に使われます。


○田部中学校・音楽室(朝)

   カーテンが風になびく。

   タイトル『1997年8月』

   ピアノの陰に隠れる田中博(14)。


次に、柱に書く場合です。タイトルのみを画面に表示する際に使われます。

○タイトル

   『後悔の音』

何かを背景にメインタイトルを表示したい場合は、前者のようにト書きに差し込む形で表現しましょう。


まとめ

さて、ここまで脚本のあれこれを紹介しましたがいかがだったでしょうか。


1.脚本が完成するまでの流れ

2.脚本のルール

3.脚本を面白くするテクニック


ここまで身につけたあなたはもう大丈夫です。早速書き始めていきましょう。

ちなみに、脚本を書く上で最も難しいのは「書き終えること」です。はじめは簡単なことで躓き、投げ出したくなるかもしれません。しかし、自分だけの作品が出来上がったときの喜びは格別です。シナリオ作家集団トキワはあなたの執筆を全力で応援しています!