縦型ショートドラマとは?───スマホ時代の最も身近な物語のかたち
スマートフォンの普及とSNS動画文化の台頭により、「縦型ショートドラマ」が急速に人気を集めています。従来のテレビドラマや映画とは異なり、スマホ視聴に最適化された「縦長画面」と「1分〜5分程度の短尺」が最大の特徴です。ではなぜ私たちは今、縦型ショートドラマをつくる必要があるのでしょうか?
▼縦型動画が注目される背景
TikTokやInstagram 、YouTube Shortsの台頭により、縦型動画は日常のコンテンツ消費の中心になりました。中でも通勤途中や休憩時間などのスキマ時間に手軽に物語を楽しめるショートドラマは、Z世代を中心に高いエンゲージメントを得ています。
▼TikTokやFOD SHORTなど増え続ける主要プラットフォーム
・TikTokドラマ:若者をターゲットにした恋愛・学園ドラマが中心
・FOD SHORT(フジテレビ):プロ制作による高品質な短編シリーズ
・YouTube Shortsドラマ:自主制作クリエイターや脚本家の新たな登竜門に
この他にも、日本初となるショートドラマ配信アプリで市場を切り開いてきた「BUMP」や、韓国語・英語・日本語・中国語など7か国語対応のグローバルな視聴者に向けた韓国発ショートドラマアプリ「Vigloo」など、縦型ショートドラマにおけるプラットフォームは拡充する一方です。
なぜ「脚本」が縦型ショートドラマで重要なのか?
たった数十秒から数分の短い映像でも、視聴者の心をつかむには「脚本」の力が必要です。
▼制限時間の中で物語を届ける力
短い尺では冗長なセリフや展開は許されません。脚本家は「1シーン1目的」の原則に沿って、ムダのない構成を作る必要があります。
▼視聴維持率と脚本の関係
特に縦型では最初の5秒で離脱率が決まると言われるほど、序盤の展開が重要です。魅力的な冒頭を演出できるかは脚本の構成次第です。
▼縦型特有の演出・編集との連携
横型に比べて視界が狭く、ワンシーンに見られる情報量が限られるため、「演出」「編集」の比重が高まります。縦型脚本はこれを想定して設計されなければなりません。
縦型ショートドラマ脚本の基本構成
短尺でも物語として成立させるには、シンプルで効果的な構造が必要です。
▼3〜5分以内に収めるワンアイディアの構築法
「ひとつの驚き」「ひとつの感情」「ひとつの問いかけ」を中心にプロットを立てるのが基本です。物語を必要以上に複雑にしないことが大切です。
テレビドラマや映画では醍醐味となる「伏線回収」も、その技術がともなわない場合はただのノイズとなってしまいます。短い尺の中で無理に伏線を入れ回収しようとすると、セリフやカットに無駄が生まれてしまうため、テンポやインパクト重視の縦型ショートでは難しい仕掛けでしょう。
もちろん、最初から伏線回収を目的とした作品であれば大いに仕掛けて問題ありません。
その場合はプロの脚本家におまかせください。
▼「冒頭5秒」で視聴者を引き込むテクニック
冒頭で必ず「引き(金言・謎・感情)」を仕掛けましょう。
この「引き」は「フック」とも言われ、視聴者が指を止めるかどうか大きく左右します。
よく使われるテクニックとしては「怒鳴る」「叩く」「壊す」などの導入が多くみられます。
しかし、これもただ激しいシーンから入ればいいというわけではなく、次のシーンにどう面白くつなげるかが脚本のカギとなります。そこがうまく機能しなければ即離脱されてしまうでしょう。
▼説明セリフと視覚情報の使い方
我々、脚本家がシナリオ学校やシナリオ本などで基礎を学んだ際に口酸っぱくいわれてきたことが「セリフで説明しない。ト書きで説明しろ」ということでした。
しかし、驚くことに縦型ショートの制作現場では「ト書きで説明せず、セリフで説明してください」といわれます。おもしろいですね。
理由は簡単で、通勤通学の電車の中や休憩時間などのスキマ時間に小さな画面で見る縦型ショートドラマにおいては映像(ト書き)での状況説明は離脱に繋がってしまいます。
縦型ショートドラマの視聴者は、おりる駅を確認したりメニュー表からランチを選んだりコンビニの列に並んだりと「ながら見」しているのですから、画面から目を離してもストーリーを追える「説明セリフ」が親切でしょう。
これは脚本家・橋田壽賀子先生が自著やインタビューの「視聴者の誰も置いていかない、家事をしながらの主婦にも今何が起きていて誰が何を感じているのかが明確に伝わるように」という有名な脚本作法にのっとった手法なのです。
そして、この手法では「説明セリフ」をただの説明としてでなく視聴者の感情を揺らすセリフとして描く工夫が必要です。
縦型脚本のためのポイントと成功事例
ヒットする縦型ショートドラマには共通点があります。
▼SNS時代の共感・拡散を狙うテーマ選び
・誰もが経験したことのある日常的なトラブル
・胸キュンするシチュエーションや憧れる関係性
・現代的テーマ(SNS、AI、ジェンダー)
▼実際にヒットした縦型ショートドラマの特徴
『年齢確認シリーズ』(こねこフィルム)
コンビニでの年齢確認をテーマにした日常的なシチュエーションが共感を集めました。コミカルとリアルを上手く融合した展開が縦型ショートの成功事例として広く注目されました。
『プロ彼女の条件』(BUMP)
芸能人との結婚を夢見る女子大生がライバルとのれ恋愛バトルを繰り広げるラブストーリー。現代の恋愛事情をリアルに描き話題となりました。
『俺のポンコツ秘書は彼か彼女か?』(Vigloo)
男装女子とアパレル社長の(禁断の?)社内恋愛を描いたラブコメ作品。全68話ほぼ毎話に胸キュンシーンがあり、つっこみどころ満載で飽きないとしてランキング上位をキープしました。
まとめ──縦型ショートドラマは「短くても深い」物語力がカギ
短尺でも物語として成立させるには、シンプルで効果的な構造が必要です。
縦型ショートドラマは、ただの短縮版ドラマではありません。短いからこそ、脚本の密度と構造が何よりも問われます。数十秒の物語に込められるのは、「今」の時代感覚や人の心を動かす力。「ワンアイディア×強い導入×明確な結末」が脚本のカギとなります。
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